bloody mary
「アンジー、おまえ騙されてンだろ。
ちょっとトイレでも覗いてみ?
股間にポークビッツが…」
「そこら中傷だらけだったンだから、全身くまなく見たわよ。
ポークビッツはなかったわ。
パーツが顔の真ん中に集まってて、目が大きくて口と鼻は小さくて…
可愛い顔立ちの女のコよ。」
「‥‥‥‥‥まじか。」
マリーは自分の足元に視線を落として、頭を掻いた。
とても年齢相応には見えない。
性別も見た目じゃわからない。
少女はそれほど過酷な環境に、 15年間置かれてきたのだ。
差し伸べられる手もなく…
「じゃあ、どうするかはガキに任せるか。」
再びゲストルームに歩きだしたマリーの決断は、憐れな少女には厳しいものだった。
「な?!
ちょ… ムリムリムリムリ…」
「もう15なンだろ?
自分のコトくらい、自分で決めねーと。」
首をブンブン振りながら腕にしがみついて踏ん張るアンジェラを軽く引きずりながら、マリーはゲストルームのドアを開け放つ。
ノックをしなかったからだろうか。
荒々しい動作が、父親を連想させたからだろうか。
少女はベッドの上で、目を見張って硬直していた。