bloody mary
目は…
デカいネ、確かに。
てか、頬がこけすぎてて、ギョロって見えるヨネ。
腫れは引いたみたいだケド、内出血が黒いっつーか、紫っつーか…
人間の顔色じゃないヨネ。
コレは…
可愛いっつーか、むしろ…
ドアに立ち塞がるように佇んだまま、マリーは緊張を孕んだ声で少女に…
「…
もしかしてご出身はラクーン」
スパ───ン!!!
訊ねようとしたが、アンジェラに後頭部をスリッパで殴られた。
んだよ、アンタにゃデリカシーってモノがナイの?!、は?ナニソレ?オイシィの?…
二人のやりとりに、強張っていた少女の表情が幾分和らいだ。
それを見たマリーが、ふん、と鼻息を漏らしながらズカズカと部屋に入り、無遠慮にベッドに腰を下ろす。
少女はまた怯えたように身体をビクリと揺らしたが、ゴクリと生唾を飲み込んでマリーを見つめた。
「あの…
手当てをしていただいて、ありがとうございます…
でも… でも… 私…」
ベッドの上で上半身を起こし、シーツを握りしめて掠れた声を絞り出した少女を、マリーは見下ろした。