bloody mary
アンジェラはマリーから身を離し、困ったように微笑んだ。
そして彼の目の前で徐に青いカラーコンタクトレンズを外す。
だが、ハニーブラウンに変わった瞳を晒しても、マリーは眉一筋動かさない。
まさか、コレも知ってたとか?
ほんと油断ならねぇヤツ。
そして、とんでもなくマヌケなヤツだ。
身元もハッキリしないあからさまにアヤシイ女装男子を、そうと知っていながら傍に置いておくなんて…
『ブラッディマリー』の命を狙う、誰かの差し金だったらどーすンの?
殺し屋失格だろ。
アンジェラは、表情も声も気持ちも、完全に素に戻ってマリーを見据えた。
「マリー… 黙っててごめんな。
俺は」
「待て待て。
スゲぇヤな予感すンだケド?」
「ハイ?」
心底嫌そうに顔を顰めたマリーに、アンジェラは出鼻を挫かれた。
ナニ?
その顔…
「オメェ… コレ、アレだろ。
『実は俺は』から始まる、メンドクセー話する気だろ。」
「…いやいや?
完全にそーゆー流れだろ。
秘められた過去をアンタに明かす、俺のターンだろが。」