bloody mary
「言いてぇコトはわかるよ。
でも、ぶっちゃけ今更だろ?
おまえに俺は殺せない。」
ゆっくり足を組みながら、マリーが不遜に言い放つ。
アンジェラは不愉快そうに鼻に皺を寄せた。
ナニ?ソレ。
ナメてンの?
「…
チカラじゃ敵わなくても、毒って手もあンぞ。」
「んー…
じゃ、言い方を変えようか。
おまえに人は殺せない。」
「は…」
アンジェラは目を見開いて絶句した。
ナンデそんなコト断言できンの?
アンタ、俺のナニを知ってるっつーの?
お互い、本名も知らない。
年齢も、家族のコトも。
今までどう生きてきたかも。
俺がナニから逃げてるのかも。
俺がどうして逃げてるのかも。
俺は… なのに…
「なんで…」
「そんくらい、見てりゃわかンだろ。
結構長い間、一緒にいンじゃねーかよ。」
マリーは心から呆れたように、首を左右に振って言った。