bloody mary
Ⅱ
ゲストルームはそのまま菜々の部屋になった。
彼女には大きすぎるクイーンサイズのベッドは撤去され…
って、もうコレ全取っ替えのレベルだよね、うん。
小ぶりなベッド、丸いローテーブル、ドレッサー、チェスト、その他諸々の家具は全て白。
カウチソファーやカーテンなどファブリックは柔らかいサーモンピンク。
なんつーか… スイーツ(笑)。
アジアンリゾートの中に、完全な別世界が出来上がった。
プロデューサーはやはりアンジェラ。
あれ以来、家の中では化粧もカラコンもやめ、言葉遣いも仕草もめっきり男に戻ったアンジェラだが、こーゆー女子的センスは健在だ。
さすが現役女装男子(対外的)。
ぶっちゃけ、マリーには足を踏み入れにくい部屋だ。
落ち着かない。
だがそれは、菜々も同じだったようだ。
突然与えられた、驚くほど女のコらしい広くキレイな部屋。
初めての自分の部屋。
落ち着かないどころか軽くパニックに陥り、初日はずっとクローゼットの中で体育座りをしていた。
前の家でも、押入れが定位置だったみたいだし…
ドラ○もん?
四次元ポケット隠し持ってンだろ。
貸せよ。