月灯りに照らされて
その後、沙織に電話をし、結婚式が中止になった事を伝え、
その電話でも、ポロポロと泣いてしまった。

そして、結婚式中止に伴う、手続きを、私が全て行った。
 
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そして震災から、3か月経った今、一向に薫様から、電話一本もなく
テレビで薫様の姿を見ているだけだった・・・・。

私は、婚約者なのよね・・・・・寂しかった・・・・。

「だったら、押しかければいいじゃないの!」

「へぇ・・・押しかけるの?」

今日は、沙織と久しぶりにご飯を食べていた・・・。

「別に結婚式を挙げなくても、籍を入れて、妻になればいいだけでしょ」

「・・・・妻に・・・そっか!わかった。そうする。そうすれば
 薫様に、会えるもんね!」

「呆れた。麗華は、本当に、橘さんの事が好きなのね・・・・」

「うん、だって、優しいし、頼りがいがあるし、私の理想よ!」

「うーん、でも頼りがいって、あんたが頼ってばかりいたら、橘さんは
 誰に頼るのよ!彼だって人間だよ。完璧じゃないんだよ。」

「・・・・うん、解っているけど・・・・・」

「全く、上手くやれるの?心配だわ・・・」

沙織から、苦言を指されながらも、私の気持ちは、押しかけ女房に
傾いていた。

早速帰ってから、父に

「お父さん、お願いです。私を橘の家に行かせてください。
 何も出来ない私ですが、せめて側に居て、薫さんの役に
 立ちたいんです。お願いします」

「うーーーん、しかしなぁー、向こうだって都合というものが・・・・」

「お父さん、お願いします・・・」
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