月灯りに照らされて
薫は、仕方なしに蓮に付き合って、コンサートを見、その後、
打ち上げに参加していた。

ひとみは、だいぶ前から、蓮の彼女気取りになって来ており、蓮を
束縛し始めていた。蓮は、そんな態度のひとみに嫌気がさして
来ていて、ここできっぱり、セフレを解消するつもりでいたのだ。

普通なら、蓮が話せばあっさりと解消できるのだが、ひとみは
違った。

そこで、薫の出番だ、蓮とひとみが一緒に居る時に、爆弾を落とす。

蓮は俳優なので、話がこじれて、後々蓮に悪い噂が立つと困るので
弟の薫から、相手の女に、最後を叩きつける。

薫達は必ず、付き合う時には、本気にはならない。結婚はもってのほか。
という条件で良ければ、付き合うことにしているが、大概女が約束を忘れ
独占欲を出して来るのだ。そして、嫌気が差した蓮が条件の事を、話すと
大概は、別れられるのだが、ひとみは、我儘な女で、セフレ解消を承知
しなくて、薫の登場になったのだ。

ふっと見ると、二人が一緒に居るのが見えたので、薫は近寄った。

「蓮、そろそろ帰ろう!」と薫が、言うとひとみが

「えっ、まだ早いじゃない。蓮、今日は一緒に居れないの?」

「ひとみ、ごめん、一緒にはいられない・・・・。」

「ひとみちゃん、あんまり蓮を困らせないでね!蓮は、大切な
 橘の人間なんだよ。蓮が恋人を作らないのも、相手を傷つけたく
 ないからなんだよ。恋人になっても、結婚出来ないんじゃ、恋愛
 する意味ないでしょ! 」

「・・・・・えっ、それって・・・別れろってことですか・・・・?」

「うん、君の為だよ!」

薫が爆弾を落とすと、ひとみは慌てて、

「蓮、蓮は私と別れてもいいの?」

「ひとみ、最初っからの約束だよね!僕は、真剣な恋愛はしないし
 出来ない!それに結婚はもってのほかで、それでよければ付き合うよ
 って、言ったよね・・・。君は、それを承諾して僕と付き合った
 んだよ・・・。違うかい?」

「・・・・・・うっ・・・・・」ひとみは、涙を流し始めた・・・。

「蓮、俺、向こうに行ってるから、話が終わったら来てくれ!」

「わかった。」そう言い残して、薫はその場を離れたが、毎回、毎回、
女はどうして、最初はセフレで構わない!って言いながら、時間が経つと、
独占欲が出て来るのか、全く解らなかった。薫は、ため息を吐きながら、
太田社長が見えたので、挨拶がてらに社長の方に歩いて行った。
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