月灯りに照らされて
震災があってからは、毎日、テレビは震災の特集であった。

その中で、薫の姿を見ることもあり

「疲れているな・・・・食べているのかな・・・」

顔を見れば、そんな言葉しか出て来ない、自分が可笑しかった・・・。

「薫・・・・・頑張って・・・・」私は、ただ薫の無事を祈るしか
なかった。

そんな日本中が、パニックの中、卒業式は中止になり、私は、4月になると
すぐに南条法律事務所で、働き始めた。

事務所は、このあたりでは大きな事務所で、扱っている案件も
多種多様だった。

「今日から、一緒に働く、小鳥遊 翠さんだ」

「小鳥遊 翠です。よろしくお願いします」

パチパチパチ・・・・

「前から、バイトで来てもらっていたから、事務所の人たちは
 顔を知っていると思うが、うちの弁護士たちを紹介するよ」

「俺の隣が、一緒にこの事務所を立ち上げた、三田村 健治。
 その隣が、我事務所のホープ、菱川 翔太君だ。」

「よろしく、お願いします」

「「よろしく」」

こうして、翠は、社会人1年生になり、新しい生活が始まった。
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