月灯りに照らされて
薫が、太田さんの方に行くと、二人の女の子と話をしていた。

『知り合いかな?芸能関係じゃないな・・・・二人とも、そこそこ
 身長があるが、一人は160cmくらいで、もう一人は、170cm
 くらいかな?二人とも高校生か?』そんな事を呟きながら、太田社長
 に声をかけたら、どうも170cmの子をスカウトしているようだった。

二人とも整った顔立ちで、160の子は、童顔で可愛い系で、170の子は、
美人でスタイルも良い、確かにモデルにぴったりの子、薫の第一印象だ。

しかし、その子は、「すいません、私、芸能界は、全く興味がないんです」
と、断っていた・・・。珍しい!今の若い子は、スカウトされると、
喜んで、やるんじゃないのか・・・・!?薫は興味を持った。

間近で見れば、見るほだ、今までもスカウトされた事はあるだろうと
思われたが・・・・。面白い!ちょっと、悪戯心が芽生えて、
その子を、からかったら、滅茶苦茶、反応がよくて、思わず笑って
しまった。

あんまり、その子が怒るもんだから、太田さんに、諌められてしまった。

聴けば、高校生かと思ってたら、大学、それも3年だという。ってことは
20歳か・・・・。若いなー・・・・そんな風に思っていたら、その子は
明らかに不機嫌な様子で、薫の誘いも断って、そそくさと帰ってしまった・・・。

「太田さん、今の子達は?」

「あぁー、私の友人の娘さんと、その友達だよ。ところで、蓮君は
 上手くいったのか?」

「はい、多分大丈夫でしょう。社長も、酷いですよね・・・。
 ひとみちゃんに、いい歌を書かせるために、蓮を利用するなんて!」

「バカ言っちゃいけないよ。一応心配はしてるよ。でも、ひとみも
 この失恋で、いい歌が書けるだろうから、良いんだよ。歌は、全て
 経験が絡むと、人の心を掴むからな。暫くは、様子を見るよ」

薫は、つくづく、芸能界は、怖い世界だと思った。

「お願いします。ところでさっきの大きい子の名前は、何ですか?」

「あぁー、小鳥遊 翠ちゃんだよ。何、気に入ったの?」

「否、今時、珍しい子だと、思っただけです」

そう太田社長に薫は返答し、太田社長の後ろの方から蓮が来るのが見えた。
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