月灯りに照らされて
「あっ、でもね、三枝さんが、すぐに彼女を連れ出して、
 薫さんは、先生に、病室を変える事と、治療費を全額橘に
 請求すように伝えて、その後すぐに先生は出て行ったの・・・」

「それでどうしたの?」

「麗華はね、すぐに謝ったんだけど、薫さんが物凄い剣幕で
 『出て行け!』って怒鳴ったの。だから、工藤さんと一緒に
 駐車場に行ったら、三枝さん達がいて、小鳥遊さんと薫さんの
 話になって、『元カノ』だって聞かされたの・・・・」

「「・・・・・・・」」

「でね、帰るにしても、泣いたから、顔を少し治そうと思って
 病院に入ったんだけど、小鳥遊さんの意識が気になって、病室を
 覗いたら、声が聞こえて
 『翠、愛してる』って、『薫、泣かないで』って・・・・・」

「「・・・・・・・・・・・」」

「私、どうしたらいいの?ねぇーどうしたらいいの?うわぁーーーーーん」

ひたすら、泣き続けた。泣き疲れて、私は眠ってしまった・・・。

************************

俊介は、ドアを開けると、そこに両親が居た・・・・。

「親父、どうする・・・・」

母は、泣いていた・・・・。

「橘と話をしよう。麗華は、この家に戻った方が良いだろう・・・」

「親父、俺も沙織さんも、離婚に賛成なんだよ。」

「お前ら、反対じゃなかったのか・・・・」

「実は・・・・・・・」この間の、橘 蓮と小鳥遊さんの話を
親父達にすると

「麗華には、無理だな・・・。小鳥遊さんの様にはなれない。
 薫君は、結婚する相手を、間違えたんだよ・・・。
 でも、麗華も、思い込むと激しいから、麗華に押し切られたところも
 あったんだろう・・・・二人の責任だな・・・・」

「麗華には、いい勉強だったのかも知れないですね・・・」

「誰が悪いわけではなくて、歯車がちょっと噛み合わなかったんだね」

皆が麗華の幸せを祈っていたのだが、仕方のない事だった。
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