月灯りに照らされて
「あぁー、お前が、過熱報道で倒れた時、翠さんがアパート戻って居たのを
 連れ戻したのは、俺だ。ついでに、最初の選挙の時に、頼んだのも
 俺だ。そして、この間の選挙の後、ちゃんと彼女と話もしている。」

「・・・・・・・そうだったんだ・・・・」

「彼女は、本当に、お前の幸せだけを願っていた。出来た娘だと
 思ったよ。両親を早くに亡くしたから、きっと大変な事も
 沢山あったろうに、自分を驕ることなく、地に足をきちんと
 着けて生きてきている娘さんだ。だから人の心の痛みも分かるし
 何より、人に対して、役に立つのならと、虫の良い話だとして
 も、彼女は、心から尽くしてくれた。本当に俺は、感謝して
 いたんだ。それなのに、お前は、物の本質を、きちんと見てない
 どころか、色んな人を巻き込んで・・・・お前はバカだよ」

「あなた・・・・・」「親父・・・・・」

「全く、その通りです。何も反論できません。」

「とにかく、明日、向こうの家に行って、頭を下げて来い」

「はい」

「翠さんの事は、橘で責任を取れ!分かったな!」

「はい、すみませんでした」

親父は、言うだけ、言うと、部屋に戻った。
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