月灯りに照らされて
薫さんは、橘家の嫁として、家柄的に問題のない、私を選んだが
私には、政治家の妻は、勤まらないと言った。

それは、私の性格もあって、政治家の妻になれば、私の良さが消えてしまうと
言われ、じゃー、私の性格が変われば、薫さんと一緒に居られるのかと
問えば、人の性格は、なかなか変えられるものじゃないし、自分と一緒に
居たのでは、私の良い所を伸ばしてあげられないと、言われ、私自身も
薫さんの本質を理解していないと言われた・・・・。

頭の中が整理出来ない・・・・でも、多分薫さんの心は、私には
向いてくれない。私に気持ちのない薫さんと一緒に居るのは、正直
辛い・・・・・。

結局離婚を承諾し、その場で離婚届けを書いた。

薫さんは、何度も謝りながら、部屋を出て行き
玄関で、両親に挨拶をしている時に、翠さんに会って見たくて
翠さんのお見舞いに行っても良いかと訪ねたら、今までに見たこともない
王子スマイルで、「翠も喜ぶよ」と、言い、北白川家を後にした。

薫さんが帰った後、私は、部屋に籠り、泣くだけ泣いた・・・・。

今は、まだ頭の中が整理できていないが、少しずつ、前を向いて行こう。

私自身が、子供だったことは、今回の事で良く解った。

ここまで、子供のままでいれたことは、両親や俊介、沙織達が、
私を守って来てくれたおかげなんだと理解した。

気持ちが少し落ち着いたら、翠さんと話がしてみたいと思った。
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