月灯りに照らされて
コンコン♪  

「翠、具合どうだ~」

バットタイミング。薫が入って来た!

「ちょっと、橘さん、翠と結婚ってなんですか!?」

「あっ、陽菜ちゃん、良かった。わざわざ連絡しなくても済んだね!
 うん、陽菜ちゃん、俺達、今日から夫婦だから、よろしくね!
 結婚式とかは、翠が退院してから決めるけど、あっ、そうだ、
 陽菜ちゃん、土日、空いてる?」

「はい、空いてますが・・・・」

「よかった。翠のアパート、引き上げるんだけど、翠は、まだ不自由な
 状態だから、土曜日、引っ越し、手伝ってくれないかな・・・・」

「えっ、ちょ・ちょっと待って、引っ越しって、薫、私がいないのに
 するの?」

「うん、だって早い方が良いし、今月一杯で出ますって、不動産屋
 連絡したよ!」

「何で、勝手に決めるのよ!私にだって、都合があるのよ!」

薫に訴えると、薫は、捨てられた子犬のような目で、私を見て

「だって、翠と早く一緒に住みたくて・・・・・・」

駄目だ、この目で見られると、何も言えなくなるんだった・・・

仕方なしに、観念し

「はぁー、解ったわよ。陽菜・・・・頼んで良いかしら?・・・」

「・・・・はぁー、仕方ないわね。捨てるものと残すものだけ
 リストアップして頂戴。後は、何とかするから・・・・
 このバカップルめ!」

「ありがとう。陽菜ちゃん。一樹との結婚式には、夫婦で
 出るからね!」

「えっ、結婚式!」

「あれ、聞いてないの?陽菜ちゃん、おめでたなんだよね!」

「えっ、えっ~~~~~~~~~」

陽菜の妊娠を知った私だった・・・・。
< 169 / 209 >

この作品をシェア

pagetop