月灯りに照らされて
麗華さんは、男の人と、女の人と、三人で来た。

「あっ・・・こんにちわ・・・・」

薫を確認して、気まずそうに麗華さんが言った。

「どうぞ、中に入ってください。皆さん、そちらのソファーに
 どうぞ、おかけになってください。」

この病室は、特別室なので、応接セットも用意されていた。

「「失礼します」」と、他の二人も挨拶をしてきた。

3人掛けの方に麗華さん達が座り、2人掛けの方に、私と薫が座った。

「怪我は、どんなですか?」

「はい、お陰様で、明日、退院なんです。ご心配おかけしました」

「いいえ、本当にごめんなさい・・・・」

「良いんですよ。あれは、事故ですから。気にしないで下さい」

「あのう、これを・・・・・」

お見舞いの封筒を出して来た・・・・。

「いいえ、これは受け取れません。本当に、気になさらないで下さい。」

「でも・・・・・」

「麗華、小鳥遊さんが、そういうのなら、引っ込めた方が良いぞ!
 すみません。申し遅れました。麗華の弟の北白川 俊介と申します。」

「私は、麗華の友人で、横田 沙織と申します。」

「初めまして、小鳥遊 翠と申します。」

「この度は、姉が本当にご迷惑をおかけしました。両親に変わって
 お詫び申し上げます。」

「本当に、事故ですから、気にしないで下さい・・・ねぇ!?」

思わず、薫を見てしまった。
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