月灯りに照らされて
「あっ、もうこんな時間だわ。すみません、用があるので
 失礼しますね」

「あっ、ごめんなさいね、引き留めてしまって。」

「いいえ、麗華さん、お幸せに。それでは」

立ちあがった瞬間、目の前が、真っ暗になった・・・・。

ガタッ・・・・

「きゃーーー、翠さん・・・・翠さん・・・・」

「誰か、救急車を呼んでください・・・・」

**********************
side 薫

仕事をしていたら、突然病院から電話が入り、翠が救急車で
運ばれたと、連絡が入った。

俺は急いで、指定された病院へ向かい、救急に行くと

「すみません、橘ですが・・・・麗華・・・・どうしてここに?」

「橘さん、お久しぶりです。今日、偶然、翠さんと会って、
 話をしていて、翠さんが帰ろうと立ち上がったら、突然倒れて
 しまって、救急車を呼んだんです。」

薫の頭の中で、一瞬、また麗華が翠に何かしたのかと疑ってしまったが
そうでなかったことに安心し

「そうでしたか・・・。ありがとう。」

「橘さん、先生から説明があります。こちらへどうぞ。」

救急の医師に呼ばれ、俺は診察室に入る前に

「はい。 翼、悪いが、麗華さん達を送って来てくれないか!」

「了解。送り届けたら、戻ってこようか?」

「否、いい。もし帰るようなら、タクシーを使うから、二人を
 送り届けてくれ。」

「わかった。じゃー、二人とも行きますか!」

「二人とも、本当に、ありがとう」

俺は、二人にお礼を言い、診察室へと入った。
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