月灯りに照らされて
そんな翠の言葉を全然気にする様子もなく、薫は

「確かに、最初は高校生かと思ったからね。でも、大学生で
 今年21歳だろ。俺は、今年で27だから、6つしか離れていないから
 良いんじゃない?」

「な・な・何がいいんですか?」

翠はこれ以上、話たくなかったが、話の流れ上、聞かずにはいられなかった。

「俺、女の子に興味持ったの初めてなんだよね・・・。
 だからさぁー、俺と付き合わない?」と、子犬こような目で言われた。

「ぶはっ・はははっ、薫が、女の子に興味持ったのか・・・はははっ」
と、突然マスターが大笑いした・・・。

「マスター、酷いなー。俺だって、偶には興味ぐらい沸きますよ・・・」

「だって、お前、今まで興味を持った子なんていなかっただろうが!」

と、マスターと薫が漫才のような会話をしている・・・「私、帰りたいん
だけど・・・・別に私に興味なんか持ってくれなくていいのに・・・。」
と、翠は心中で呟いていた。

「だから、翠、付き合おうよ!」と、急に話をふられて、

「へぇっ・・・本気ですか・・・・?」

「もちろん。だって翠は、学生だし、まだ結婚なんか考えてないだろ?」

「もちろんです。恋愛だってまともにしてないのに、何で結婚
 になるんですか!?」

「だからだよ。俺は、結婚は、自分の意志では出来ないからね!
 その点、翠なら、大丈夫でしょ!」

「ちょっと待ってください!?じゃー、私はセフレですか?」
と、薫のあまりの発言に、怒りを含みながら聞いた。

「違うよ。ちゃんと恋人になろう!って言ってんの。セフレなら
 別に翠じゃなくてもいいんだよ。俺は、翠と付き合いたいの!
 わかった?」と、言われても、薫の言っている意味が、理解
 出来ずにいると、

「翠、人は、付き合わなければ、お互いを理解できないだろ!
 だから、付き合ってみて、違うと思ったら、別れればいい
 だけだろ!そう思わないか?それに、恋人だからって、必ず皆が
 結婚するわけじゃないだろ。違うか?」

と、なんだかいいように言いくるめられているような気がした・・・。
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