月灯りに照らされて
翌日、薫は、無理言って、午前中、仕事を休ませてもらった。

「橘さん、どうぞ」

産科の先生に呼ばれ、緊張していたが、

「はい、よろしくお願いします。」

「そこのベットに横になって、お腹を出してください。
 エコーをかけますから」

「はい」 私は、お腹を出して、横になった。

ここの婦人科の先生は、女の先生で、野口先生といった。

「うーん、見えますか。ここに袋があるの解りますか?」

「あっ、はい」 「あっ、あるある。」

薫も真剣に見ている。

「うーん・・・二つあるわね・・・・双子だわ。だから貧血も
 強く出ているのね。しばらくは、鉄剤を飲んでもらいますね。」

「はい。」

「今、10週目だね。しばらく悪阻もあると思うけど、あんまり
 悪阻が酷いようなら、病院に来てね。点滴するから。
 あとは、体重管理をしっかりして、中毒症も気を付けて
 行きましょうね。双子は、特に気を付けないとならないから」

先生の言葉を、噛みしめながら、喜びに溢れていた。

「はい。ありがとうございました。」

「あと、今日帰りにでも、母子手帳を貰ってきてね。二人分よ」

「はい」 「先生、翠を、よろしくお願いします」

薫と二人で先生に挨拶をし、その後退院の手続きと、次回の予約を
したりして、タクシーに乗ってマンションに帰った。
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