月灯りに照らされて

そんな陽菜の言葉に、意を決したように、翠は

「私、橘の家に入るわ。その方が、私にはいいような気がする。
　薫さんは、不規則だから当てにはならないし、お義母さんなら
　男の子二人、育てているから、経験もたくさんあるし、それに
　どのみち、橘の両親の老後は見るつもりだったから、同居するわ！」

「まぁー、きちんと橘さんと話をしなよ！そうでないと、後から
　こんなはずじゃなかった！なんて事になりかねないからね。
　解った？」

「うん、そうだね。二人で、きちんと話し合うわ。」

翠は、陽菜との話の中で、自分の気持ちが、ほぼ同居へと気持ちが
動いているのが解った。


その夜、薫が帰宅すると、翠は、同居の件を相談し始めた。

「薫、お義父さん達との同居の件なんだけど・・・・」

「うん、翠はどう思う？」

薫は、まず翠の意見を聞いて来た。

薫は、自分の家だし、自分の両親だ。でも翠にとっては、
酷く気を使うかも知れないし、普段不規則な自分より
両親とは長く一緒に居ることになるので、自分の意見より
翠の考えを大切にしたかった。

「うん、私ね、今日、陽菜とも話をしたんだけど、一人なら
　まだしも、二人だと家事もそうだけど、育児に自信がないの。
　薫は、不規則で当てにならないし、その点、お義母さんたちが
　いてくれれば、正直手があるのは助かる。
　だから、２階を全面リフォームかけて、住みやすくして
　貰えた方が、良いような気がするの。
　それに、お義父さん達の老後の面倒も、見なくちゃならないでしょ？」

「うん、解った。親父に全面リフォームかけるように言っておくよ。
　それから、翠、そろそろ仕事を辞めないか？」

「・・・うん、私も考えてた・・・・・今回の事で、かなり
　自分の体を大事にしていかないと、もしもの事があったら
　取り返しがつかなくなるし・・・・・」

「そうだな。南条さん達と相談して、近いうちに、辞める方向で
　話を進めてくれるかい！？」

薫は、心配そうな顔をしながらそう言った。