月灯りに照らされて
翌日、翠は、仕事に向かい、朝一番に、南条夫妻に、
休んだ謝罪と、今後の相談をし、相談の結果、9月末で仕事を
辞めることにした。

「翠ちゃん、本当に残念だけど、こればっかりは仕方ないわね。
 最初は、一人でも大変なのに、二人じゃ、余計よね・・・・」

茜は、本当に残念そうに言った。

「茜、これも翠ちゃんの為だ。仕方ないよ。翠ちゃん、その代り
 休みになったら、家に顔を見せに来てくれ。俺達は、君の
 親代わりでもあるんだから。」

亨さんの言葉に、思わず涙する翠であった。

仕事の事も決まり、リフォームの事も決まり、薫と翠は、新しい
スタートを切ろうとしていた。

暑い夏も過ぎ、9月に入って、リフォームの図面を見ながら、
建築士の高橋さんと薫達は、細かい打ち合わせをした。

リフォームといっても、全面的に改装するので、かなり大がかりに
なる。

費用は、今住んでいるマンションが売れたので、それを充てることに
なった。

自分たちの城になるので、薫も翠も妥協したくなくて、かなり
細かく打ち合わせをし、納得が行くまで話し合い、お陰で、
リフォームは、ほぼ、薫達の理想通りに出来上がった。
< 197 / 209 >

この作品をシェア

pagetop