月灯りに照らされて
「なんか、薫の言っていることが、理解出来るような、出来ない様な・・」

「翠、深く考えないの。俺は、親父の秘書をしているから、休みも
 時間も不規則だ。だから翠の生活を、俺と付き合うからって、俺に
 合わせる必要は全くない。むしろ、今のままで、お互い一緒に
 居られるときに居ればいいんだよ。解った?」

「う・うん、解った・・。」と、つい返事をしてしまい、次の瞬間
薫の顔が笑顔になり、その顔を見たら、まぁーいっか!と、思う翠だった。

「薫、やったな!翠ちゃん、薫をよろしくね。こいつのこんな必死な姿
 初めて見たよ。翠ちゃんのお陰で、良いもの見せてもらったよ!」

「マスター、それは酷いよ。俺だって、偶には必死になりますよ。
 今まで、その対象が居なかっただけだよ。」と、薫は剥れていた。

そんな会話を聞きながら、翠は、薫と連絡先を交換し、その後、お互いの
事を少し、話した。

薫は、橘家の二男で、なぜかお父さんの後を継ぐらしい。まぁー蓮さんは
長男でも俳優をしているからなんだと翠は思った。その時は。

今は、お父さんの秘書についていて、日々政治家としての勉強を
している最中で、高校生活は日本で送ったが、大学は、アメリカに渡り
、在学中にMBAを取ったりし、本当なら自分で起業するつもりで
いたらしい・・。

その夢は、今も捨ててはおらず、もし、政治家を止めたら、その時は
自分の夢を叶えたいと言った・・・。

薫の話を聞いて、翠は、結構真面目なんだと感心していた。
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