月灯りに照らされて
「ねぇー、工藤さん・・・

「あっ、翼で良いよ。僕も、沙織って呼ぶから」

「へっ、呼び捨てですか・・・・・」

「うん、良いじゃない!どうせ、ちゃんや君で呼ばれる年じゃないだろ」

「はい・・・。じゃー、翼、私って、どう見えます?・・・・・・・」

「どう?って?・・・」

「今日、彼に言われたんです。沙織は、強いから、俺が居なくても
 生きていけるだろ!それに、俺よりも、仕事が大事で、仕事より
 大事なのが、麗華ちゃんだろって・・・・・」

「ふ~ん、確かに、キャリアウーマンには、見えるけど、人間誰しも
 強いばかりじゃないし、弱い部分だってあるのに、その元彼、
 ただ、沙織の本質を知ろうとしなかったんじゃないの?」

「そうなんですかね・・・・2年付き合っていたんですよ・・・」

「付き合いが長いからって、本質を見抜く訳じゃないでしょ!
 彼にとって、沙織は、最初は都合がよくて、でも最近は、自分に
 とって都合が悪くなってきたから、別れ話をしたんじゃないの?」

「それって・・・・」

「多分、女が出来たんだろうね!?」

「はぁ・・・・やっぱりそうですよね・・・・・」

沙織は、心当たりがあるのか、一気に沈んだ・・・・。

「そんな男、忘れた方が良いんじゃない?」

「そんなんですけど、でも2年付き合うくらいだから、私だって
 好きだったんです・・・」

「まぁーそうだよね。でも、先に進んだ方が、沙織の為だよ。
 今日は、飲んで、明日から気持ち、切り替えたら?」

「そうします!マスター、お代わり」

沙織は、その日、記憶が無くなるまで飲んでしまい、翌日、
とっても後悔する羽目になる。
< 204 / 209 >

この作品をシェア

pagetop