月灯りに照らされて
side 薫

今日は、翼の誘いで、久しぶりに奴らと、夕ご飯を食べに行った。

俺と翼ともう一人、三枝 一樹は、中学からの仲間で、こいつらとは
本当に気が合い、翼も一樹も今は、就職しているが、いずれは俺の
秘書になって貰う予定だ・・。

翼は、弁護士事務所に、一樹は、経理事務所で働いている。

今夜は翼のよく行くレストランに連れてってくれることになっている。

「そこに、一人、綺麗な子が働いているんだよ。」

「なんだ、翼、その子に気があるのか?」と、俺が聞くと

「否、そこまでではないが、目の保養だな・・・」

「そっか、その子を見るのも楽しみだな!」と、一樹も頷いていた。

三人で、隠れ家的なレストランに入ると、背に高い女の子が

「いらっしゃいませ・・・工藤様、お待ちしてました」と、翼に
話しかけているのを見て、小鳥遊 翠だ!と、思った。俺は、翼と一樹
の後をついて行って、個室に入るときに、翠は俺に気が付いた。

個室に通されて、二人からは、「知り合いだったのか?」と、聞かれたが
「まぁーな!」と、誤魔化すように答えていた。

昨日の態度もそうだが、今日の態度を見ても、俺には興味がありません
って感じに、ちょっと興味が沸いた。

それからは、翠に話しかける事もなく、三人で、久しぶりの食事を
楽しんだ。

食事は、その辺の高級レストランに負けないくらい、美味しかった。

食事の給仕をしている、翠を見ながら、ちょっと悪戯を仕掛けようと
思い、最後のコーヒーを飲み終わり、席を立つときに、俺のペンを
わざと、コーヒーカップの脇に置いた。

さて、翠ちゃん、上手く引っかかってね・・・・。

ニヤリと笑う、薫だった。

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