月灯りに照らされて
バーに着いてからは、ひたすら、翠を口説いた。

とにかく、今日というチャンスを逃したくなかった。
何故か、昨日からの出会い、今日の再会、もしかして運命か!?
などとは思わないが、きっと縁があるのだと思う。それに、何より
翠は、まだ学生で、結婚は全く考えていないはずだ。

俺は、結婚は出来なくても、恋愛は自由なので、翠の事は
妙に、手に入れたくて、翠を知ってみたくて、付き合って
みたかった・・・・。

そんな俺を見た、マスターは驚いていたが、とにかく翠を
手に入れたかった・・。

マスター否、神崎さんは、もとは蓮の友人で、蓮が中学の頃からの付き合いだ。

蓮にとっての神崎さんは、俺にとっての翼や一樹と同じだった。

本当の友人が少ない俺達にとっては大事な人だ。そんな神崎さんの店
に、俺は、翼や一樹以外、連れて行った事はなかった・・・。

何故か、翠は、神崎さんに会わせてみたかったから、無理やり連れて行った。

翠が、トイレに立った時、神崎さんが

「薫、お前、本気だな!?」と、聞いてきた。

「うー、多分ね!自分でも正直、何でこんな行動を起こしているのか
 解らないんだ。でも、翠は、手に入れたいんだよね・・・」

「そうか・・・・。いつでも困ったら手を貸すからな、それだけ
 覚えておけ!お前は、一人じゃないからな!」

「うん、その時は、よろしく・・・」

そんな話をしているうちに、翠が戻って来たので、俺達は店を出た。

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