月灯りに照らされて
その夜、私のスマホに、メールが入った。それは、薫からの
『おやすみ』メールだった。私も、薫にお休みの返信をしてから
眠りについた。

翌朝は、天気も良く、まるで夏を思わせるような天気だった。

大学に着くと、陽菜が声をかけてきた。

「翠、おはよう!」

「おはよう、陽菜。土曜日は、ありがとう。楽しかったわ!」

「そうだね!また行こうね!」

「うん、またよろしくね!」そんな会話をしているうちに授業も
始まり、真剣に講義を受けた。

翠は、卒業までの単位を、順調に取っていたので、今年は、就活に
有利になるような、試験を受けることにしていた。

昨年は、簿記と秘書検の三級を取ったが、所詮三級では、インパクトに
かけるので、もう少し上を狙いたいと、独学で勉強中だった。

そして、行政書士も今年、頑張って取るつもりでいた。

翠は、弁護士にはなれないが、法律事務所で、出来たら働きたいと
思っている。

なかなか狭き門だが、出来るだけ法律にかかわる仕事がしてみたいのだ。

両親が亡くなってから、祖父母が面倒を見てくれたが、特に祖母は、
翠を大切にしてくれた。

伯父は、祖母の本当の息子ではなく、先妻さんの子で、祖母とは
関係が良くなくて、そのため、祖父が亡くなった時に、祖母と伯父が、
祖父の相続で揉め、その時、間に入ってくれたのが、隣に住んでいた
南条夫妻だった。

南条 亨は、大きな弁護士事務所をやっていて、南条が
色々と問題を解決してくれたのだ。

だから、祖母が亡くなった時、すぐに伯父が乗り込んで来るのが
解ったので、翠の大切な荷物や、預貯金などは、全て南条に
預かってもらい、翠は、大切な祖母との思い出を失わずに済んだ。

祖母は、自分が死んだら、南条に後見人になって貰えるように
闘病中に手続きを取っていたのだ・・・。
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