月灯りに照らされて
夕食後、翠たちは、いろんな話をした。

それこそ、薫の仕事の話から、翼達の話まで。
薫は、思った通り、翠とは別世界で生きてきた人だった。

橘の家の話になると、あまり話したくないようだったので
無理には聞かなかったが・・・・。

翠も、大方、食事の時に話したが、コンサートに一緒に行った陽菜の
事や、バイト先の話など、薫は、真剣に聞いたくれた。

気が付くと、11時も過ぎたので、薫は、「そろそろ帰る」、と言って
立ち、玄関に向かうと、薫は翠に、キスをした・・・。

軽い、ただ触れるだけのキス。

翠は、今まで、男性と付き合ったことがないわけではないが、付き合って
いたのは高校2年の時だけで、それも、1年程で、振られてしまった。

相手は、一つ上の先輩で、先輩が大学に入ってすぐに、振られてしまった。

先輩とは、いつも翠の部屋で会っていた為、家には、常に
祖母がいた。そのせいもあって、先輩と最後の一線を越えることはなかった。

今考えてみると、それも振られた原因かもしれない・・・・。

だから、翠は、キス以上は知らない・・・・。

『多分、このままだと、私は薫と・・・・・ん・・・・薫は大人だし
私は・・・・・処女・・・嫌がられるかな・・・・・?』

そんな余計な事を翠は、思っていた・・・・。
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