月灯りに照らされて
結局、その日から、翠たちは、半同棲生活を送ることになり、
翠のアパートは、ただの借りているだけの状態になった。

でも、これから先の事は、解らないので、翠はアパートを解約せず
必要なものだけを、薫の部屋に運び、アパートには、空いている時間に、
掃除と空気の入れ替えに行くくらいになって行った。

薫の住んでいるマンションは、薫が仕事用に買ったものだったが、
二人で住むには十分で、快適に過ごした。

薫は、意外に綺麗好きだが、料理は、全くしない。
掃除と洗濯は、好きらしいが、アイロンがけはしないから、ワイシャツは
全て、クリーニングだ。

そして、薫の仕事は、忙しく、本当に不規則だった。

翠は、薫の体調だけが心配だった。薫がこれだけ忙しいのだから、
薫のお父さんは、もっと忙しいはずだ・・・・生半可な仕事ではないと
つくづく実感していた。

ただ、薫は、翠と居るようになってから、一緒に居るときは、とにかく
甘えて・・・。べったりくっ付いて離れようとしない・・・。

夜も、毎晩、私を思う存分抱き、また翠も薫から与えられる快楽に
浸り、翌日が休みだと、翌朝まで離してもらえない状態だった・・・。

そんな、ラブラブな生活を送っていたが、後から考えても、
人生の中で、一番幸せな時期だったと後から思うのだ。


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