月灯りに照らされて
打ち上げ会場は、コンサート会場にほど近い、小さなレストランを
貸し切って行われていた。

『お疲れ様でした・・』カチン♪、皆が乾杯をする中、

2人は、物珍しさに、レストランの中をキョロキョロと、見渡している。

すると、

「ねぇー、陽菜、あそこにいる人って、『橘 蓮』じゃない?」

「あっ、本当だ、かっこいいわねー。あっ、隣の人も、イケメンねー」

「本当だね」などと、二人で、他愛のないお喋りをしながら、
バイキング形式の料理を食べていると、

「陽菜ちゃん、お友達を紹介してくれるかい!?」と、太田社長が
陽菜に声をかけて来た。

「はい、彼女は小鳥遊 翠さんで、私の高校からの友人です。」

「初めまして、小鳥遊 翠です。本当に、今日はありがとうございます。」

「小鳥遊さんね! 突然だけど、君、モデルにならない?」

「はぁーっ・・・・私ですか・・・・?」

翠は、突然、モデルにスカウトされてしまった・・・。

翠は、今までも、何度かスカウトを受けたことがあるが、全く芸能会
には興味がなく、ましてや自分にそんな才能がない事も、良く知っていた。

「すみません、私、芸能界は、全く、興味がないんです・・・」

「そうか、残念だな・・・折角、良いと思ったんだけどな・・
 また、気が変わったら、連絡頂戴。」

太田社長は、翠に名刺を渡した。

そこへ、先ほど、橘 蓮と一緒に居た男性が話しかけてきた。

「クックックッ、太田さんでも、振られるんですね・・・」

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