月灯りに照らされて
side 薫

「薫君、今年は、夏休み、少し上げられそうなんだけど、
 いつがいいかなー」と、親父の第一秘書の川崎さんが聞いてきた。

「えっ、休みがもらえるんですか!?」

「あー、来年なると、また選挙の準備に入らなくちゃならないから
 今年のうちだな・・・。それに取りたいんだろ・・・。」

「はい・・・。あのー親父には・・・内緒で・・・」

「解ってるって。彼女の事、相当気に入っているんだろ。顔に
 出てるよ。余程の子なんだろうな!薫君の彼女!」

「は・はぁー、まぁー、そのー、普通ですよ・・・」

「そうか、翼君曰く、美人だって聞いてるぞ・・」

「えっ、翼が・・・あいつめ・・・・」

「とにかく、いつが良い?」

「じゃー、8月の6日から8日まで、良いですか?」

「あー、大丈夫だよ。その間は、何もないだろうから。あっても
 僕の方で、何とかなるはずだから・・・良いよ、その日で」

「ありがとうございます。」

俺は、誕生日に翠と一緒に過ごせることになって、嬉しかった。

そうだ近場でも良いから、旅行に行こう!どこにしようか・・・・

頭の中は、旅行の計画でいっぱいだった。

俺と翠は、偶然にも誕生日が一緒だった。

翠との出会いから、考えても俺達は、前世から繋がっているのでは
ないかと思うほど、繋がっている。

翠と付き合って、丁度3か月位だが、今では翠がいない生活は
考えられない・・・。それほど俺は、翠にのめり込んでいた。

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