月灯りに照らされて
しかし、蓮の笑顔の裏に、私の目を鋭く見る目を見て、これは
本気で聞いているのだと思った。

「私は、薫の顔も、家も、お金も興味はないです。私は、薫自身が
 好きなんです。それでは、いけませんか?」と、聞くと

「そんな事言って、誰が信じるの?まさか21の小娘に、薫が
 騙されてるなんて、正直信じられなかったよ!でも、まぁー
 君の顔とスタイルと、女優並みの演技が出来れば、薫でも
 騙されるか・・・・」と、完全に人を馬鹿にしていた。

震える手を、抑えながら、

「何が言いたいんですか! はっきり言ったらどうですか?」

「そう、ならはっきり言わせてもらうよ!君は、橘の家に
 相応しくない人間だ。親もいない様な、ましてや庶民の子
 に、橘は合わないんだよ。だから、君の為にも早く、別れてよ。
 なんなら、手切れ金も出すよ・・・。お金欲しいでしょ!」

あまりの言葉に、私は、言葉が出なかった・・・・。

私の事も調べて、そして、薫と別れろと・・・・涙が溜まって来たが
この人の前では泣きたくなかった・・・・。

そんな時

「蓮! 何やってんだよ! 翠は、お金欲しさに俺と付き合って
 いるわけじゃない! 何も知らないくせに、出ていけ!」

と、薫が怒鳴った。

「おー怖、薫、目を覚ませ。この子はお前には、ふさわしくない子
 だ。俺達は、自分たちに見合った相手としか一緒に居られないんだよ」

「翠が、ふさわしいか、ふさわしくないかは、俺が決める事だ。」

「もー帰ってくれ!」

「解ったよ。今日は、帰るけど、いつか後悔するぞ・・・・じゃーな」

と、橘 蓮は、帰って行った。
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