月灯りに照らされて
薫の話は、翠にとって、結構、衝撃だった・・・。

確かに特殊な世界で、家の事もある・・・・。

そのことを考えると、私達に、未来はないのかも知れない・・・・・。

でも、私は、たとえ未来がない二人でも、今を大切にし、二人の思い出を
沢山作りたい・・・。薫を沢山、愛したい・・・。もっと癒してあげたい。

私は、薫と許される時間まで、目一杯今は、薫を愛そうと思った・・・。

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今日は、いよいよ、初旅行の日!存分に楽しもう!と、朝から翠の
テンションは高かった。

「翠、朝からそんなハイテンションで、疲れないか?」

「ううん、大丈夫。だって、旅行なんて久しぶりなんだもん。
 それに、薫と一緒に誕生日も過ごせるなんて・・・ありがとう」

「どういたしまして。じゃー行こうか!」

「うん!」二人は、車の中でも、沢山話をし、旅館に行く途中、
 観光を楽しみながら、車を走らせた。

目的地の旅館に着いたのは、3時過ぎだった・・・。

「うわっー、なんか別世界!」

「だな!」山と川に囲まれた旅館で、私たちは、母屋の部屋ではなく
離れの部屋に通された。

そこは、とっても静かで、東京の慌ただしさを忘れさせるほど、
別世界だった。

「薫、ゆっくりしようね!」

薫の隣に立ち、窓から外を眺めていると

「そうだな・・・。翠、少し、散歩するか?」

「うん、行こう。ちょっと、探検しよう!」

私たちは、夕ご飯まで、旅館の中や、旅館の周りを散策して過ごした。
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