月灯りに照らされて
そんな、翠の思考を読み取ったように、薫は

「別に、今日は、選挙関係で来たわけじゃないからね! クックッ
 今日は、蓮に頼まれて、来たんだよ。」

一瞬、翠は頭の中を読まれたと思い、恥ずかしくて顔が、真っ赤になった。

「べ・べ・べつに、そんな事、思ってなんか・・・・

「いないとは、言わせないよ。君の顔に、そう書いてあるもの。」

薫はそう言い、口元を、ニヤリとさせていた。

その様子を見た翠は、『何なんだ!この男は、腹が立つ!』

と、怒りを露わにし、陽菜に向かって、

「陽菜、そろそろ時間だから、失礼しようよ!」

翠は、その場を逃げたいが故に、そう言い放すと、

「あっ、僕らも帰るから、送って行こう・・・

薫が、言い終わるか終わらないうちに、翠は

「結構です!まだ電車もありますから。それでは、太田さん
 本当にありがとうございました。お先に、失礼させていただきます。」

翠の言葉に続き、陽菜も

「太田さん、ありがとうございました。また家の方にも、遊びに
 来てください。父も母も喜びますから。」

「ありがとう、陽菜ちゃん。翠ちゃんも、気が変わったら、いつでも
 連絡頂戴。待ってるから。じゃー、気を付けて帰ってね。」

「「はい、ありがとうございました」」

翠たちは、挨拶を終えて、打ち上げ会場を後にし、電車に乗って、帰った。
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