月灯りに照らされて
side 翠

薫と二人だけのお正月をやり直してから、あっという間に月日が経ち、
今は、桜も散り、私は4年生になっていた。

薫の日々は変わらないが、私が、とにかく就活で疲れる。

そんな私を見て、薫が

「翠、バイト、止めたらどうだ?」

確かに、最近は、就活がハードで、3月に風邪を引き
体調を崩し、薫に心配をかけてしまった・・・・。

「うん・・・・でも、就職先が見つかれば、卒業までは何もないから
 体力的には大丈夫なんだけど・・・・」

「でも、翠、今は就活だけに励んだ方が良いと、俺は思うよ!」

「・・・・・・・わかった。考えてみる・・・」

薫の言う通りかもしれない。

就職が決まらなければ、フリーターでご飯を食べて行くしかない。

いつまでも薫と居られるわけではないのだから・・・・バイトを止めよう。

今は、就活に専念しよう!そう思い、翌日、バイト先に行った。

「石川さん、実は、バイトを今月いっぱいで辞めさせてもらいたいんです。」

「そうか、やっぱり就活は、大変か?」

「はい、就職できなくてはどうしようもないので、今は就活に
 専念して、悔いがないようにしたいんです・・・・」

「解ったよ。残念だけど。悪いが、ゴールデンウィークまで、良いかな?」

「はい、どうせ今月いっぱいは、働かせて貰おうと思っていたので、
 大丈夫です。」

「じゃー、ゴールデンウィークまで、頼むね」

「はい、よろしくお願いします」



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