月灯りに照らされて
薫は、日々忙しさが、増しているようだった。

蓮さんの話では、お父さんの後を継ぐのだから、地元の後援会の皆さんへの
挨拶回りから、演説会と、忙しくしているみたいだった。

翠が、薫にしてあげられる事は、限られている。だから翠は出来る事は、
何でもして、今の薫を支えようと思った。

大学も、もうほとんど行かなくてもいいし、就職も決まった。

今は、薫との別れのカウントダウンまで、しっかり支えようとした。

翌日、薫が帰って来るまでの間に、大学に出向き、田中教授にお礼の
挨拶に行って来た。

夕方、陽菜に電話で、就職の件を伝えたら、

「良かったね。翠、私も頑張るから、応援してね」

「うん、陽菜なら大丈夫だよ。いつでも凹んだら言ってね。
 付き合うから!」

「フフフッ、よろしくね!」

陽菜との電話を切り終えると、薫が、帰って来た。

「おかえりなさい、お疲れ様。」

「ただいま、疲れた・・・癒して翠」

翠は、薫の唇にキスを落し

「お風呂沸いているから、入って来て、そしたらご飯にしましょ!」

「うん、僕ちゃん、お風呂入って来る~」

と、甘ちゃん薫君の登場で、薫は、浴室へ向かった。
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