月灯りに照らされて
マンションへ翠を、送り届けた後、車内では、元と川崎が

「薫が、あの娘を、好きになったのが、良く解ったよ・・・。」

「そうですね。年の割には、しっかりしてましたし、あの容姿なら
 もう少し、我儘な所があるかと思いましたが、あそこまで薫君
 を想っていてくれてるなんて、なかなか出来ないですよね・・・」

「あぁー、本当に。あの娘は、薫なんかより、ずっと大人だ。
 薫は、幸せ者だと思うよ・・・・・。」

「どうされますか?暫くは、様子を見ますか?」

「あぁー、そうすることにする。今の薫では、使い物にならないからな。
 それから、北白川家へのアポを取っておいてくれ・・・」

「かしこまりました。」

『さて、薫、お前がほんとに、翠さんを大切に想うのなら、お前は
 この縁談を、どうする?お前の出方次第だぞ・・・・』

元は、そろそろ薫に、縁談を持ちかけるつもりだった。

だが、今日、翠に会って、翠なら政治家の妻としては、申し分なく
勤まるだろうと思ったが、橘の嫁としては、あまりにも分が悪く
翠が苦労するのが分かるので、薫が、政治家の妻を取るのか
橘の妻を取るのか、選択させたかった。

薫に選択させることにより、自分で責任もって、妻になる相手を
守っていく事だろうと、踏んでいた・・・・。



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