月灯りに照らされて
「ご無沙汰しております。小鳥遊です。」

「小鳥遊さん、突然で申し訳ないのですが、今回の選挙運動の時
 薫のサポートをしてもらえませんか?」

「えっ、私ですか?」

「そうです。薫の倒れた後、小鳥遊さんが戻っただけで、アイツは
 全く、別人のように変わった。本来なら、こんなお願いは、虫が
 良いとしか言いようがないのだが、今回は、絶対に負けるわけに
 はいかないんだよ。今、自由党は窮地に立たされていて、この
 選挙で負けると、自由党は、野党になってしまう。そのためにも
 薫には、頑張って貰わないとならない。毎日、君が作ったお弁当を
 愛しそうに食べているのを見ていて、親バカだと思うが、少しでも
 薫が選挙運動に専念できるように、出来たら君に、選挙運動の時、
 近くでボランティアとして側にいてほしいんだが、どうだろうか・・・・」

「私に、勤まりますか?」

「大丈夫だ。選挙運動を手伝ってくれる人達は、ベテランばかりだ。
 君一人、入ったところで何も問題はないから・・・・。」

「解りました。出来るだけの事は、させてもらいます。」

「よかった。この話は、川崎から聞いたと、薫には言ってくれ。」

「招致しました。お世話になります。」

薫の父の要請で、翠は、薫の選挙運動を手伝うことになり、
南条の事務所には、選挙運動の手伝いを頼まれたので、その
期間だけ、お休みさせてもらうことにした。
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