月灯りに照らされて
縁談と別れ
side 薫

選挙当選後、俺は国会議員として、日々忙しく送っている。

初登庁の時は、かなりの報道陣が、国会前に詰めかけ、当然インタビュー
を沢山受けた。

その後も、何をするにしても注目を浴び、正直、げんなりする部分も
あったが、逆手の発想で、今、自由党をアピールし、次の選挙には
必ず、我、自由党を、与党に返り咲くよう、この報道を利用するのも
一つの策だと思うようになってからは、今までみたいに、ストレスを
ためる事が無くなった・・・・。

議員として仕事をするようになって、1か月程したある日、親父に
食事に誘われた。

翠のご飯を食べたかったが、最近親父とも話をしてなかったので
快く承諾し、親父の指定する料亭へ足を運んだ。

「遅れて、すみません。」と、襖を開けると、

「大丈夫だ、薫、こっちに座りなさい。」

何故か、親子と思われる二人が座っていた・・・あっ!

「薫、こちら、北白川コーポレーションの社長の北白川 誠一さんと
 娘の麗華さんだ。」

「初めまして、橘 薫です。」

「いやー、本物は、テレビよりもっといい男だな!どうだ、麗華?」

「はい・・・・・素敵ですね・・・・・」

やられた・・・・・否、嵌められた・・・・・。
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