月灯りに照らされて
side 薫

北白川家との見合いのあと、俺からは、親父に連絡はしなかった。


それに痺れを切らした、親父が、

「お前は、何やっているんだ!縁談は、どうするんだ。
 向こうは、乗り気なんだぞ・・・。」

「はい・・・・。そのまま話を進めてください。」

「良いんだな、話を進めて!?」

「はい、進めてください・・・・」

「じゃー、向こうにはそのように連絡しておく。」

親父との電話を切った俺は、絶望感に浸っていた・・・・。

その後、すぐに俺は、アメリカにいる、蓮に電話をした。

「どうした、久しぶりだな。この間の選挙以来だな?」

「あぁー、蓮、とうとう縁談が来た・・・・・」

「そうか・・・・相手は誰だ?」

「北白川だ・・・・」

「そうか・・・、ところで、用はなんだ。縁談の話じゃないだろ」

「うん、蓮、検査は受けたか?」

「あぁー、受けたよ」

「どうだったんだ?」

「あぁーあの時、睾丸が炎症を起こして、それが原因だと思ったんだが
 どうも、おたふくは関係なかったみたいなんだ。確かに不妊気味
 ではあるが、治療すれば、大丈夫だと、医者に言われたよ。
 だから、今、治療を受けている状態だ。」


「そうか・・・・良かった。じゃー俺に子供が出来なくても
 蓮がいるから、大丈夫だな・・・・」

「おい、ちょっと待て、お前、まさか・・・・」

「あぁー、結婚はするけど、子供は作らない!これだけは譲れない」

「薫・・・・・お前・・・・・」

「すまん、蓮、後継ぎは、頼む・・・・」
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