月灯りに照らされて
蓮との電話で、蓮に子種があるとわかれば、俺は、少し気が楽に
なった・・・・。

でも、今、翠を手放したくなくて・・・・気が狂いそうだ。

そんな俺は、結局、ぎりぎりまで、翠に別れを切り出せずにいた。

12月に入ると、親父から、また連絡が来た・・・・。

「結婚式が決まったぞ。来年の4月にすることになった。
 薫、偶には、麗華さんを誘って、食事にでも行ったらどうだ?
 向こうだって、お前から連絡が来るのを待っているんだぞ」

「・・・今、仕事が忙しくて、なかなか気持ちに余裕がないんです。
 そのように、向こうには、連絡を入れておきます・・・」

「そうしてくれ、麗華さんは、えらくお前を気に入っているらしいからな」

「・・・・・はい・・・・・・」

来年の4月・・・・・俺は、気が狂いそうだ・・・。

遅くても今年中に、翠に別れを言わなくてはならない。

多分、年が明けると、俺と北白川家との婚約発表があるはずだ・・・。

もう少し、せめてクリスマスは、翠と一緒に過ごしたい・・・・

自分の立場をこれほど、恨んだ事はなかった・・・・。
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