蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
そこまでして自分と一生を共にしたいという慧の気持ちに応えたい。
これまで慧は絢乃のためにいろいろ尽くし、支え、導いてくれた。
その深い愛情に、熱い想いに、応えていきたい……。
見上げる絢乃に、慧はにこりと笑った。
さらっとした黒褐色の髪を揺らし、端正な美貌に柔らかな笑みを浮かべる。
「父さんのことは心配いらないよ。でも、どこで式を挙げるかはちゃんと考えないといけないな」
「……どういうこと?」
「お前がどういう式を挙げたいかにもよるけど……。人前式で無宗教ってのが一番いいかもしれないな」
「……え?」
慧の言葉に絢乃は思わず声を上げた。
人前式で無宗教って……。
普通、結婚式と言えばキリスト教式や神道が一般的ではないだろうか?
とそこまで思ったところで、絢乃は息を飲んだ。
――――自分たちの仲は、神には祝福されないのだ……。