蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



慧はこれまで、絢乃を優しく抱いてくれた。

初めてのあの夜は情熱的だったが、それでも絢乃の体を気遣い、無理な抱き方はしなかった。

恋人同士になってからも経験の少ない自分の体を気遣い、ゆっくりと花の蕾を開くように、優しい快楽を与えてくれた。

ときに意識を飛ばすように抱かれたこともあるけれど、総じて慧は優しく接してくれた。

けれど……。


「……っ……」


あの人とは、ここで狂ったように体を重ねていたのだ……。

慧も健康な一人の男性だ、思うままに衝動を発散したいということもあるだろう。

けれど慧は自分の前でそういう要求を表すことはなかった。

それは自分の体を気遣ってなのか、それとも……。


――――自分に、それだけの魅力がないからなのだろうか……。




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