蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



絢乃の胸が氷のように冷たく、重くなっていく。

祐司が自分を捨てたのは、自分の体に魅力がなかったのが原因だ。

不感症で、今も体を開けない自分。

そんな自分は、慧の目にはどう映っているのか……。


……考えたく、ない……。


夕闇の中、心が奈落の底に沈んでいく。

床の冷たさはいつしか体を冷やし、睡眠不足の脳に冷たい錘のように圧し掛かる。


――――頭が、痛い。


絢乃は力なく壁に寄りかかった。

冷たい夕闇に、心も体も呑まれていくような気がした……。



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