蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
3.指輪より大事なもの
翌日。
11:00。
ギシギシと体のあちこちが悲鳴を上げる。
体を動かそうとすると、鈍い痛みがあちこちに走る。
絢乃は床に頬を押し付けたまま、ゆっくりと目を開けた。
昨日は徹夜であまり睡眠を取れなかったため、爆睡してしまったらしい。
「…………」
カーテンの隙間から日差しが漏れている。
絢乃は手を伸ばし、カーテンを開けた。
ずっと暗い中にいたせいか陽の光が針のように目を襲う。
絢乃は眩しさで眉根を寄せながら部屋の中を見渡した。
部屋の真中に置かれたベッドを見た瞬間、昨日のことを思い出しさっと青ざめる。
まずい。
絢乃はとっさに立ち上がろうと床に手をついた。
その時、自分の左手の異変に気が付いた。
――――指輪が、ない。