蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
沙耶は嫣然と笑う。
その瞬間、絢乃の胸に烈火のような怒りが込み上げた。
――――許せない…………
絢乃はとっさに床を蹴り、沙耶に飛びかかった。
しかし沙耶はすっとそれを避け、あらと言った顔で微笑む。
「あなた、爆睡していたからちょっと拝借したのよ。……にしても、慧ってこういう指輪が好みなのね。知らなかったわ」
「……っ、返してくださいっ!!」
「言われなくても返すわよ。用が済んだらね。……ま、私はこんな指輪より、慧にもっと大事なものを貰ったのよ。だから指輪なんて別に要らないわ」
「……大事なもの?」
沙耶の言葉に絢乃は思わず聞き返した。
慧が沙耶にあげた、大事なもの……。
なぜか、冷たい予感が背筋を走る。
恐怖の予感で震える絢乃に……。
沙耶はくすりと微笑み、そっと自分の腹部に手を当てた。