蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
<side.沙耶>
目の前で絢乃がふらりと床に頽れる。
沙耶は冷たい目でそれをじっと見つめた後、踵を返した。
寝室のドアを閉じ、ガチャと鍵を閉める。
その口元には自嘲するような笑みが浮かんでいた。
「……よく言うわね、我ながら……」
沙耶はリビングのソファにどさっと腰を下ろし、前髪をかき上げた。
テーブルに置いてあったペットボトルの水をグラスに注ぎ、ぐいと飲み干す。
絢乃は思っていた以上に素直な性格らしい。
まさかここまであっさり信じるとは思ってもみなかった。
その素直さが慧の心を惹いたのだろうか……。
沙耶はリビングの中を見渡した。
このマンションは3年前、一括で購入したものだ。