蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
見ると、妻の欄には既に絢乃のサインが入っている。
慧は衝撃のあまり息を飲んだ。
そして続いて出てきたものに、慧は自分の頭が真っ白になるのを感じた。
――――絢乃の結婚指輪。
結婚指輪は二人で選んだもので、注文時にラインの形と裏に嵌めこむ石を選んだ。
ので、同じものはこの世に二つとない。
慧は震える手で指輪を取り上げ、裏を確認した。
……これは紛れもなく、絢乃の指輪だ。
「……っ……」
あまりの衝撃に思考が飛び、まともに考えることができない。
なぜ……。
慧はぎりっと唇を噛みしめ、震える手で離婚届を握りしめた。
破きたい衝動を必死で抑え、絢乃のサインを確認する。
……筆跡は、絢乃のものだ。
怒りと哀しみが激情となって慧の心に押し寄せる。
慧は激情に押されるままとっさに携帯を取り上げた。
そのとき。