蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
プルルルと携帯が鳴った。
画面に表示されたのは、『加納卓海』の文字。
とっさに通話ボタンを押した慧の耳に、卓海の声が入ってきた。
『慧か?』
「――――っ……」
『夜分悪ぃな。あいつ、そこにいるか?』
卓海は慧の心境などそ知らぬ様子で言う。
無言の慧に、卓海は続ける。
『商品マスタの件で連絡したいことがあって、あいつに何度か電話をかけたんだが、何度かけても出ないからさ。代わりにお前に……』
卓海はそこまで言い、言葉を止めた。
どうやら慧の様子がおかしいことに気付いたらしい。
『……おい、慧? どうした?』
卓海は訝しげに言う。
その声に慧はあることを直感した。
その直感に押されるように早口で言う。