蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
慧は半ば固まりかけた唇を押し開き、低い声で言った。
「……卓海。ひとつお前に頼みがある」
『何だ? お前が頼みって、なんだか気持ち悪いな』
と言った卓海に。
慧は簡潔に言った。
「絢乃が行方不明だ。探すのを手伝ってほしい」
『――――は?』
慧の言葉に、電話の向こうで卓海が驚きの声を上げた。
しばしの沈黙の後、唸るように呟く。
『おい、……マジか?』
「ああ。実はお前が一番怪しいと思ってたんだが、お前じゃないって今わかった」
『……っ、何考えてんだお前!? お前の女に手を出すなんて、殺してくださいと言うようなもんだろ!?』
「………………」
『ってか……、そうなると相手は絞られるな。お前達の間を知ってる男ならあいつに手を出そうとは思わねぇだろ。ってなると犯人はそれを知らない奴、もしくは女だ』
「……なかなか鋭いね、卓海」