蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
慧はくすりと笑った。
慧の頭の中には、すでにある一人の女の名前が浮かんでいた。
『彼女』であれば絢乃のメールを偽装することも筆跡を偽装することもお手の物だろう。
彼女は頭がいいし、さらに職業が職業だ。
彼女であれば絢乃を罠にかけるくらい朝飯前だろう。
――――そう、自分が絢乃を罠にかけたように……。
慧は唇の端に微かな笑みを浮かべた。
自分達の間を邪魔するものは、誰であろうと容赦はしない……。
『彼女』はそれなりに手強い。
動きを想定した上で対応しないと、こちらが不利に追い込まれるだろう。
――――まずは、情報集めだ。
慧は電話を切り、再び自室へと戻った……。
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