蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
どうやら既に卓海は中にいるらしい。
慧は軽く会釈し言われた応接室に入った。
中に入ると、スーツ姿の卓海がじろりと慧に視線を投げてきた。
部屋の真中に置かれたテーブルにはノートパソコンと小さなスキャナが置かれ、卓海はその脇に置かれた椅子に座って足を組んでいる。
「悪いね、仕事中」
「全くだぜ。……ってかアイツ、まだ帰ってないのかよ? GPSで居場所は割れてんだろ?」
「まぁね」
慧はくすりと笑い、懐から写真を取り出した。
その写真を見、卓海はぎょっとしたように仰け反った。
「何だコレ? 身に覚えがねぇぞ?」
「あったら殺してるよ。……にしてもなかなかいい出来でしょ?」
「妻の携帯にGPSを仕掛けるお前もお前だが、角倉沙耶もハンパねぇな……。そういえば、録音は?」
「もちろん、抜かりないよ?」
「何もないのにGPSを仕掛けるくらいだからな。お前が手を抜くはずはないか」
と呆れたように言った卓海に、慧は少し笑った。
「別にいつも仕掛けてるわけじゃないよ? 念のため設定しておいただけだけど、まさかこんな形で使うことになるとはね」
「念のためでも普通設定しねぇだろ? ……まあいい、そいつをよこせ。調べてやるよ」
「よろしく」