蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
ガチャとドアが開き、沙耶が姿を現した。
その手には食事の乗った盆がある。
沙耶はそれを入り口近くのチェストの上に無造作に置いた。
「ほら、食事よ。食べなさいな」
「……角倉さん、いつまで私をここに閉じ込めておくつもりなんですか?」
「いつまでって、あなたがそれを知ったところでどうしようもないでしょ?」
「……っ……」
絢乃はぐっと手を拳に握りしめた。
沙耶は愉しげに笑い、絢乃を見る。
その余裕に満ちた笑顔は相変わらずだ。
沙耶が立つドアの向こうにはリビングが広がっており、玄関に近い壁にはインターホンが埋め込まれている。
そのインターホンの画面が、ぱっと切り替わった。
と同時に男性の声がする。
『角倉さん、郵便局です~』
「……?」
『内容証明郵便が届いておりますので、印鑑の準備をお願いします~』